
静岡・伊東市が大揺れです。市長の田久保真紀氏に“学歴詐称”の疑惑が浮上し、市議会はついに全会一致で不信任を突きつけました。
辞職か、それとも議会解散か――9月11日の決断期限が迫るなか、田久保市長があえて“鉄の心”で居座り続ける理由は、退職金と期末手当の“数百万円”が目的だという声も広がっています。
膨大な税金を投じてでも延命を図るのか、それとも潔く身を引くのか。市民の怒りと不信のなかで、市政は前代未聞の混迷へと突き進んでいます。
田久保市長の不信任決議までの経緯
田久保市長は2025年5月の伊東市長選で現職を破り、初当選しました。しかしその直後、
市議会で真偽を調査する動きが始まりました。
市議会が設置した百条委員会では、市長側が証言や証拠資料の提出を拒否し続け、説明責任を果たさないことが問題視されました。その結果、2025年9月1日には不信任決議が全会一致で可決されたのです。
この決議により、市長は地方自治法に基づき10日以内に「辞職・失職」か「議会解散」を選ばなければならなくなりました。
辞職か議会解散か、その選択の意味
産経ニュースより
「辞職・失職」を選んだ場合、市長選挙が早期に行われ、新しい体制づくりがスムーズに進みます。一方で「市議会の解散」を選べば、40日以内に議会選挙が実施され、その後の新しい議会でも再び不信任案が出される可能性があります。
議会解散を選ぶということは、リスクを抱えながらも在任期間を延ばす方法になるため、市長にとっては責任回避と経済的利益の確保につながる延命策だと受け止められています。
退職金と期末手当を狙う「鉄の心」
伊東市HPより
市長の退職金や期末手当は報酬の約45%で計算され、在職期間が長くなるほど金額は増えます。田久保市長の月額報酬は約85万5千円とされており、在職期間を少しでも延ばせば退職金は数百万円規模まで膨らむ見込みです。
そのため、議会解散を選べば少なくとも40日間は市長職を続けられ、さらに在任を重ねれば手当の額も増えます。この点が「鉄の心で決断を引き延ばしている」と指摘される理由です。
市議会解散の場合の退職金
市議会解散を選んだ場合でも、市長の退職金は条例に基づき在職期間分が支給されます。
市議会を解散し、その後に失職または辞職となった場合でも、「月額給与×在職月数×支給率」という計算式で退職金が算出され、月初に1日でも在職していれば1か月分として加算されます。
在職期間が長くなるほど退職金も増額となり、「市議会解散→最大40日間延長してからの失職」となると、その期間も含めて支給額が増えます。
【実例(伊東市のケース)】
伊東市の場合、月額給与85万5000円・支給率45%・在職月数で算出されます。
伊東市長の期末手当
伊東市長の期末手当は、12月支給分の満額では約186万円。
これは市長の月額給与85万5千円に基づき、月給+45%を乗じた額にさらに150%を掛け、在職期間に応じた割合で支給される計算です。
田久保市長は2025年5月29日に就任しており、12月1日まで在職すると6カ月の満額条件を満たします。なお、11月までに退職した場合でも約149万円分が支給されます。
つまり、期末手当だけで約150万〜186万円の範囲で支給される見込みで、在職期間が長くなるほど金額は増えます。
住民リコールによる解職の場合や、法的な懲戒免職などは別扱いで減額や不支給のケースもありますが、不信任による辞職・失職は対象外で、伊東市の場合も、
市民の負担と怒り
今回の政治的袋小路は市の行政にも大きな影響を与えています。
市議会解散・選挙にはおよそ4,500万円、市長選挙には2,200万円が必要で、合計で数千万円単位の税金が投じられることになります。
そのため市民からは、
という厳しい声が上がっており、市民の政治不信は一層強まっているのです。
責任の取り方から学ぶこと
過去の事例として、兵庫県の斎藤知事の不信任をめぐるケースでは、斎藤氏が潔く辞職して再選への挑戦を表明し、一定の評価を得ました。
それに対し、田久保市長は決断を先延ばしすることで、政治的な評判をさらに悪化させています。
政治家が自らの責任をどう取るのかという姿勢こそ、市民の信頼を回復する最大のポイントだという教訓が、今回の問題からも見えてきます。
今後の行方
9月11日が決断の期限です。
田久保市長が辞職を選べば、早期に新しい市政がスタートします。逆に議会解散を選べば、市政はしばらく混乱状態に留まり、市民負担も続くことになります。
いずれにしても、退職金や期末手当のために「鉄の心」で決断を先延ばす姿勢は、市民に理解されません。市政の信頼を回復するためには、真摯で潔い判断が今こそ強く求められています。